寄席に初めて行き申したよ。
こんばんわ。ナオです。
初めて寄席に行ってきました。落語ですね。
上野にある鈴本演芸場という場所へ行きました。
場内の独特な空気が日常と切り離されていて、ジェネレーションギャップとカルチャーショックが手を組んで私に詰め寄ってくるのでした。
まず私の落語スペックは下記の通りです。
・新作と古典があると知っている。
・落語で枕の話を終えて本編へ入る時に羽織を脱ぐ。
・おちけん(落研)とは落語研究会の略である。
・ラーメンズは落研出身。
細々とした落語ライフを送っていました。というかペーペーのド新人です。
ところが最近友人が落語に興味を示していたので、これはしめたもんだと。なんとかして、たぶらかして寄席デビューだと。
そして、まんまとたぶらかした結果、先週行って参りました。
御徒町駅の北口に集合です。上野の隣駅です。ジュエリーといえば御徒町。加工業を中心にジュエリーに関する沢山の専門店があります。
ここ数年ずっと駅の工事をしていて、ちょっとおしゃれな駅舎になりつつあります。
上野に集合しないわけは 、寄席の感想にかこつけて我らが御徒町をアピールするため…という思惑など全くなくただ単に北口と南口しかないので迷わずに集合できるだろうと決めました。わざわざ上野駅なんて難易度の高い場所で集合する必要はない。出口がいくつあるのかわからない。都会の喧騒に惑わされずスマートに賢く生きていきましょう。
鈴本演芸場も上野と御徒町の大体中間くらいにあるのでベストな選択といえます。
御徒町駅の北口を一歩出ると上野から続いているアメ横がすぐに見えます。
さて、集合時間ぴったりに北口についた私は、どういうわけか南口で待っている友人となんとか合流して演芸場へいざ。さっそくスマートな行動にほころびが見えます。
落語によく登場する熊さんと八っつぁんの様な失敗です。
我々は自らを鼓舞するように「てやんでぇ」「べらぼうめぇ」と意気込みながら、いそいそと演芸場に向かいます。
鈴本演芸場がある中央通りは、えっさほいさと開発されています。建築中のビルは御徒町駅の近くでこの通りを直進していくと秋葉原となります。
開発が落ち着けば、上野⇒御徒町⇒秋葉原といい観光ルートになりそうです。
ちなみにジュエリー街はこのルートの恩恵に預かるには少し遠いかと思います。無念。
駅から演芸場までの所要時間は徒歩で数分なので、あっという間に到着した熊さんと八っつぁんこと私と友人。
どーん。
どーん。
昼の部と夜の部の二部制で興業があります。
昼の部は12時30分から16時30分。
夜の部は17時30分から20時40分。
私たちは夜の部を選びました。なぜなら私の目的は夜の部に出演される柳谷喬太郎師匠にあるからです。今回は喬太郎師匠の落語を聞くために馳せ参じたのです。
平日に行ったのでお客さんの入りは決して多くはなく、中央やや手前という絶好のポジションを確保しました。
周りをざっと見渡すと、年齢層はやはり高いもののご高齢の方はさほど見かけず、40、50代の方が男女問わず多い印象でした。20代もちらほらいます。
疲れを滲ませているスーツ姿の男性もいれば、蓮舫さんを彷彿させるショートカットのキャリアウーマン風の女性もいます。
開演までドキドキしながら待ちます。
この幕が開けたら、いよいよ寄席のスタートです。
もちろん写真なんかは撮れません。
この写真も、ここまでは撮っても大丈夫なのかな、本当?大丈夫?などドキドキしていたら場内アナウンスで
「これより開演しましたら撮影などはお控えください」とのアナウンスが流れたので
「まだ開演してない!いまだ!」と撮影しました。
しばらくして音楽と共に幕があがり、めくるめく夜が始まるのです。
まずは前座らしき方が座布団へ座ります。名前はパンフレットには記載されていません。テレビの前説のような役割なのだと思います。
とても若い人なのに凄くうまいです。ただ、まだ会場は笑ったり、話を真剣に聞く空気が出来ていません。
昼の部の笑いから一時間がたち、空気はすっかり冷めきっているのです。先ずは、とにかく喋ってお客の脳を起こす作業をしている様に見受けられます。
冷たい空気に切り込んでいくのに、普通に考えれば一番最初が一番経験の浅い人でしょうから度胸がないと出来ませんよね。ドキドキしながら見ていました。
そして次々と出てくる噺家の方々。
演目が終わった後の拍手もスロースターターですが、段々と熱を帯びていきます。
パチパチ。(1人目)
パチパチ。プシュ。パチパチ(2人目)
パチパチ。プシュ。プシュ。パチパチ(3人目)
なにやら背後からプシュプシュと音が聞こえてきます。
もう拍手の時以外でも至る所で、けっこう聞こえます。
始めはサイレンサー付きの小銃で師匠たちの暗殺でも試みているのかと考えました。全然当たってないぞ。へたくそめ。
演目の切れ目に音の出どころを振り返ると彼らの缶ビールがプシュと開く音でした。
そうだった。ここはビールの自動販売機があって、お酒を飲みながら落語を聴くというスタイルができるのです。
彼らは暗殺者ではなかったのです。
なるほど。
ここ演芸場は伝統と文化を継承する空間です。郷に入っては郷に従わなければなりません。仕方がありません。
演目の合間を見計らって熊さんと八っつぁんもプシュに参加と相成りました。
程よくプシュプシュと嗜んでいると、ワタクシの本命柳谷喬太郎師匠が登壇でございます。
演目は「まんじゅうこわい」です。
あらすじは
仲間内の雑談で怖いものは何かと話していると、その中の一人の男がまんじゅうが怖いと言い出します。これを聞いた仲間たちは、普段から気に食わなかった男に仕返しをする為、まんじゅうを買ってきて、寝ていたその男の傍に置くのです。
起きた男はまんじゅうに驚き、「こんな怖いものは目の前から無くさなければ!」とバクバクと食べていきます。それを隠れてみていた仲間たちは、まんじゅうを食べたいから嘘をつかれた事に気づきます。一杯食わされた仲間たちは、男の前に飛び出して「本当に怖いものはなんだ」と尋ねます。男はまんじゅうを食べ終わった後に「このへんで濃いお茶が一杯こわい」と言うのでした。
ざっとまとめるとこの様な内容です。有名な話なのでご存知の方も多いと思います。
枕(最初に行われる雑談)で散々そばの話をするので、「おっ、これは時そばだな。」なんて思っていたら、まんまと騙されました。痺れます。
時間でいえば20~30分ですがあっという間に終わってしまいます。
その後、入船亭扇辰師匠が阿武松を演じて、「お仲入り」という10分休憩が入ります。
残念ながら、次に約束があるのでここで退席となります。最後まで聞けなくて心残りがありますが、初めての寄席としては2時間たっぷり楽しめて満足です。
後ろ髪を引かれつつ、すっかり文化と伝統に感化された我々は「てやんでぇ」「べらぼうめぇ」と演芸場を後にするのでした。
まとめ
空気を温める切り込み(特攻)隊長がいたり、あえて声を小さめに語り始めて、集中して聞かせたり、色物と呼ばれる落語以外の漫才や大道芸の場を盛り上げる力技なんかは、演芸場に足を運ばなければわかりませんでした。
「演目を聴く」だけでなく「文化的な営み」の息づかいを体験できる付加価値があり、さらに初めての体験というプレミアも乗っかり、大満足でした。
最後まで観れなかったのは残念だったので次回はちゃんとスケジュールを調整して臨みます。
覚えている範囲で演目は
・疝気(せんき)の虫
・二人旅
・まんじゅうこわい
・阿武松(おうのまつ)
でした。
ちょっと思ったこと
師匠たちの名前はパンフレットに記載されているので問題ないのですが、演目がわからない。最後に口頭で説明されるだけなんですね。初めての噺などは、いつ終わるのかわからないので最後の演目名を聞き逃しやすいです。
つまるところあとで復習ができない。そして復習ができないので後日ほかの人に説明&布教ができないのです。勿体ない。
ただ前にドキュメンタリーで喬太郎師匠は客層を見て演目を合わせたりするという話をしていたので記載できないのは仕方がないのかもしれません。
皆さんどうしているんでしょうね。
色っぽいお姉さんをお持ち帰りしてきました。(パンフレット)